「感情障害の診断横断的治療のための統一プロトコル(Unified Protocol for Transdiagnostic Treatment of Emotional Disorders:UP)」は、ボストン大学不安関連症センターのデイビッド・H・バーロウ博士らによって開発された、うつ病や不安症などの感情の問題に幅広く適用可能な認知行動療法をベースとした治療法です。UPはもともと成人を対象として開発されましたが、マイアミ大学のジル・エレンリッチ-メイ博士らが、子ども用の治療法として改変したのがUP-C/Aです。主に小学生を対象とした児童版UPをUP-C(Unified Protocol for Transdiagnostic Treatment of Emotional Disorders in Children)、主に中高生を対象とした青年版UPをUP-A(Unified Protocol for Transdiagnostic Treatment of Emotional Disorders in Adolescents)と呼びます。
UP-C/A(成人版UPも同様ですが)の特徴は、(1) 研究によって有効性が確認されていること、(2) 1つの治療法で複数の感情障害を同時に治療できること、(3) 治療者にとっては1つの治療法を学ぶことで幅広い疾患に対応できるため費用対効果が高いことなどが挙げられます。
患者さんにとってのメリット
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複数の疾患が併存していたとしても、感情の問題で困っていればUP-C/Aという1つの治療で対応可能です。
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感情の問題に役立つことが分かっているスキルを1つずつ丁寧に学ぶことができるので、治療が終わった後も自分でスキルを使って問題に対処できるようになります。
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ワークブックがあるので、自分で学ぶこともできますし、復習に使用することもできます。
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保護者の方が、お子さんにどのように対応するとよいのかについても学べます。
※UP-Aのワークブックには保護者向けの内容が含まれていないので、保護者向けの内容についてお知りになりたい方はUP-Cのワークブックをご覧ください。
治療者にとってのメリット
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UPは特別な治療法ではなく、これまで有効であることが確認されてきた認知行動療法のスキルを組み合わせて作られているので、初学者の方でも、体系的に認知行動療法について学べます。
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1つの治療法を学ぶだけで複数の精神疾患に対応できるようになります。
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セラピストガイドがあるので、治療の進め方や実施上の注意点などを詳しく学ぶことができます。